不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「なっ!返してよ!智也っ!!」
智也の手に握られているのは、さっきまであたしが握りしめていた成績表。
しかも、開いて中を見ている。
「ほらよ」
「うわっ!!」
成績表を開いたまま、投げるようにして渡してきた智也。
その時つい見てしまった。
成績表の中を……
「えっ……嘘……」
そこに書いてあるのは、信じられない結果。
「あ、あたし行くね!!」
「は!?行くってどこにだよっ!!」
そう言う智也をシカトして、あたしは走り出していた。
――ガラッ
勢いよく開けた第一図書室のドア。
「うわっ!なんだよ」
ドアの音と共に、あたしの方を見た司先輩。
「つか……さっ……はぁ―…先輩。テスト……はぁ―……」
「は?一体何が言いたいわけ?」
「だっ、だか……らっ」
「まずはこっちに来て落ち着け」