不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
こんな感情は知らない。
誰にも感じたことなんてない。
ただ分かるのは……
さっき別れたばかりの、鈴加に会いたいってこと……
ただ……それだけだった。
――――――――……
「司く~ん♪」
「……んだよ。気持ち悪いな……」
ハイテンションな夏樹に対して、低めなテンションの俺。
「んだよ―!朝からテンション低いな―」
「朝だから尚更だろ。……昨日あまり寝てねぇんだよ」
結局ほとんど眠らないまま、朝を迎え学校に来てしまった。
「なに?お前が悩み事?珍しいなぁ―」
「……別に。ただお袋の声がうるさくて眠れなかっただけ」
「……声?」
「そっ。男に抱かれて、喘いでいる声」
夏樹が口を閉じた。
夏樹は俺の家庭事情を知っている。
知っていて、俺のそばに居てくれる夏樹には、本当は凄く感謝するべきなんだろう。