不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~


こんな感情は知らない。



誰にも感じたことなんてない。



ただ分かるのは……



さっき別れたばかりの、鈴加に会いたいってこと……



ただ……それだけだった。



――――――――……



「司く~ん♪」



「……んだよ。気持ち悪いな……」



ハイテンションな夏樹に対して、低めなテンションの俺。



「んだよ―!朝からテンション低いな―」



「朝だから尚更だろ。……昨日あまり寝てねぇんだよ」



結局ほとんど眠らないまま、朝を迎え学校に来てしまった。



「なに?お前が悩み事?珍しいなぁ―」




「……別に。ただお袋の声がうるさくて眠れなかっただけ」



「……声?」



「そっ。男に抱かれて、喘いでいる声」



夏樹が口を閉じた。



夏樹は俺の家庭事情を知っている。



知っていて、俺のそばに居てくれる夏樹には、本当は凄く感謝するべきなんだろう。




< 109 / 349 >

この作品をシェア

pagetop