不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
それから出来るだけ、視線を合わせないように昼食を食べた。
普段から、昼休みには喋らない俺と鈴加。
だから、そんな俺たちを不審に思う奴なんていなかった。
「夏樹……帰るぞ……」
「えっ!?もう!?」
あからさまに夏樹がイヤそうな顔を向けた。
どうせ城田ともう少し喋りたいのだろう。
部活が一緒だから、放課後も会えるのに……
「いいから!次の化学、俺たちが準備当番だろ」
グイッと夏樹の腕を持ち、無理やり立たせた。
「えぇ―、いつもやってねぇのに――」
そんな夏樹の言葉を無視して、グイグイ引っ張りながら歩いた。
でも夏樹の言う通りだ。
準備の当番なんて、ちゃんとこなしている奴なんていない。
もちろん俺だって同じだ……
でも早くあの場所から、逃げたかった。