不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「……なんだよ。あいつ。」
「でも蘭が言った通りだと思う……」
夏樹のボソッと呟く声が聞こえる。
「彼女の肩を持つとかじゃなくて、やっぱり親友としては心配なんだろ……」
わかってる。
そんなのわかってんだよ……
「まぁ、俺は確実に変わってきてると思ってるからさ……」
「……何が?」
「お前が」
と言ってニカッと笑い、俺の前を歩き出した。
そんな夏樹の背中をただ、俺は見ているだけだった……
―――――――……
「じゃあな。司」
放課後になり、部活に行く準備を済ました夏樹が机の前に立っていた。
「あぁ―」
とだけ言うと、「頑張れよ」と意味のわからないセリフを残して教室を出ていった。
頑張れよ、か……
そんな夏樹の言葉を頭の中で繰り返しながら、いつもの場所に向かった。