不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「じゃあ、先に席取っとくな」
それだけ夏樹が城田に伝えて、俺たちは席を探しに行った。
「……にしても、やっぱりこの時間帯はあんまり席空いてねぇなぁ」
夏樹がキョロキョロ周りを見渡す。
「司く~ん」
この耳に触る甘ったる声は……
「ここぉ、空いてるよ?」
自分の横の席を指差し、ニッコリ笑顔を向ける道岡。
「あぁ―……他を探すから……「じゃあ、座っていいか?」
「うん♪」
夏樹の言葉をさえぎり、返事をした。
「おいっ!いいのかよ」
道岡のところに行こうとする俺の腕を掴んでくる夏樹。
「何が?」
「何がじゃねぇだろ!?鈴加ちゃんが道岡のこと苦手だって、知ってんだろ!?」
眉間にシワを寄せ、俺に詰め寄ってくる。
「苦手って決まったわけじゃないだろ……」
「だからって、さっきのヤキモチ見てればわかるだろ?」
あぁ―……、わかってるよ。
わかってるからなんだ……
「あれ?司先輩、まだ席見つからないんですか?」
いつの間にか定食の乗ったお盆を持って立っていた鈴加たち。
「あぁ、見つかったよ。あそこ」
そう言って、道岡の横を指差した。