不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~


「じゃあ、先に席取っとくな」



それだけ夏樹が城田に伝えて、俺たちは席を探しに行った。



「……にしても、やっぱりこの時間帯はあんまり席空いてねぇなぁ」



夏樹がキョロキョロ周りを見渡す。



「司く~ん」



この耳に触る甘ったる声は……



「ここぉ、空いてるよ?」



自分の横の席を指差し、ニッコリ笑顔を向ける道岡。




「あぁ―……他を探すから……「じゃあ、座っていいか?」


「うん♪」



夏樹の言葉をさえぎり、返事をした。




「おいっ!いいのかよ」



道岡のところに行こうとする俺の腕を掴んでくる夏樹。


「何が?」


「何がじゃねぇだろ!?鈴加ちゃんが道岡のこと苦手だって、知ってんだろ!?」



眉間にシワを寄せ、俺に詰め寄ってくる。



「苦手って決まったわけじゃないだろ……」


「だからって、さっきのヤキモチ見てればわかるだろ?」



あぁ―……、わかってるよ。



わかってるからなんだ……



「あれ?司先輩、まだ席見つからないんですか?」



いつの間にか定食の乗ったお盆を持って立っていた鈴加たち。



「あぁ、見つかったよ。あそこ」



そう言って、道岡の横を指差した。



< 163 / 349 >

この作品をシェア

pagetop