不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~


「っ……」



少し顔を歪めた鈴加。



「行こ」


そんな鈴加にわざと笑顔を向けた。



「はい」




でも鈴加もすぐに俺に笑顔を向けた。



なんだよ……



こんな時に笑顔向けんなよ。



いつもは大好きな鈴加の笑顔に、苛立ちを感じた。



席に座り、定食を食べ始めた。




「司く―ん。あのね~~」



さっきからべったりくっついて話しかけてくる道岡。



恐らく鈴加が彼女だってことは知っているはずだ。



知っててわざと……だな。



でも、そんな道岡を俺は引き離そうともしなかった。



それどころか「ん?」と答えて、笑顔を向けるほど。




「それでね~~」



ギュッと腕に手を巻き付けようとした道岡。



さすがにそれは……と思い、避けようとすると……



――バンッ



「あたし、もう教室帰る!」と机を叩いて立ち上がった鈴加。


「えっ!?ちょ、ちょっと!?鈴加!?」




引き留める城田さえも無視して、鈴加はお盆を持っていなくなる。



「夏樹先輩。ちょっと鈴加追いかけてきます」



城田も、立ち上がり鈴加を追った。



「おいっ。お前バカか!?」


夏樹がギロッと俺を睨む。




「分かってるよ……」



鈴加が傷ついていることくらい……



でも、それを喜んでいる俺は……最低な奴だな。



最低な方法で、鈴加の愛情を確認してる。



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