不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「そういうことだったわけね」
コーヒーをズズッと口に入れながら、夏輝が納得した様子にうなずく。
「で?どうすんだよ?」
「……別れようと思う」
「……は?」
このままじゃ、いつか引き返せないところまで鈴加を傷つけてしまうかもしれない。
苦しめて、泣かせてしまうかもしれない。
それが怖くてたまらない……
「あいつの泣き顔はもう見たくないんだ……」
泣かせたくないんだ……
「はぁ―……。これだから恋愛初心者は」
「……は?」
「それはただの自己満足だろ?泣かせたくないから別れる?ふざけんなよ……」
真剣な夏樹に体がすくんだ。
「泣かせるに決まってんじゃん。いくら好きで大切でもさ。泣かせない方法ばっかり考えてたら恋愛なんて出来ねぇんだよ」
「っ……」
「まぁ、俺は……お前が決めたことに何も言うつもりはないけどさ」
コーヒーカップが小さく音をたてて机に置かれた。
「恋愛の仕方なんてないんじゃないか?そんな方法があったら、俺だって知りたいくらいだし」
ははっと笑って俺を見る。