不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
―――――……
「落ち着いた?」
ハンカチをあたしに差し出しながら、首を傾げてそう言った。
「んっ……」
そんな蘭に対して、コクッとしか頭を頷かせることしか出来ないあたし。
「そっか。よかった」
ニコッと笑い、ガシャンとファンスにもたれながら座った。
あたしも蘭の横に、寄り添うようにして座った。
これじゃただの甘えん坊だ……
……優しい風が髪を揺らす。
泣いた理由も、1時間目居なかった理由も……何も聞いてこない蘭。
「何も聞かないの……?」
「うん、聞かない。……鈴加が話したいって思ってくれるまで、あたしは無理に聞かないよ」
「……蘭」
空を見上げる蘭の横顔をただ、じっと見つめた。
「……司先輩とケンカしたゃった」
ボソッと聞こえるか、聞こえないかというくらいの声で呟いた。