不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「俺は正々堂々と鈴加を奪ってやるから」
強く決意に満ちた智也の瞳。
「じゃあ、それだけです」
智也は俺を睨んで、屋上から出ていった。
俺以外、誰もいない屋上。
まぁ―……当たり前か。
今、授業中だしな……
恋で苦しむ気持ちがわからない……か。
確かに前までの俺だったら、理解できなかっただろうな。
恋なんて……って思ってたから。
なのに……今は………
……俺だって、鈴加を悲しませたくない。
出来ればずっと、笑っていてほしい。
でも俺の愛は歪んでる。
笑っているのは俺の横だけでいい。
他の奴なんかに、笑顔なんて向けないでほしい。
こんな汚くて歪んだ部分を見たら、きっと鈴加は俺を嫌いになるだろ……?
いや、その前に、もう鈴加の気持ちは智也に向いているかもしれない。
「っ……」
歪んでいる俺じゃなくて、純粋に鈴加を思っている智也に。
なぁ、鈴加……
お前は今、誰を想ってる……?