不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「なんかさぁ、前の司はただ女にウザいオーラしか出してなかったじゃん」
「……今もそうだろ?」
屋上のドアを開けると、少し肌寒い風が吹く。
「まぁ、そうだけど……それは鈴加ちゃんを想っての行動だろ?」
確かにそうかもしれないけど……
「ウザいのも確かだ」
フェンスに凭れかかる俺たち。
「あぁ―……、はいはい。でも逆に“彼女一筋で素敵!”って声も出てきてんだぜ」
「は?」
「いいよな―。モテる奴は……」
いやいや、お前も十分モテてるけど……
「つーか、彼女一筋なんて当たり前じゃね?好きで付き合ってんだから」
「……」
「何だよ。その顔は……」
「……っ!甘いっ!甘過ぎるよ、司くんっ!前は女なんて、とか思っていた司くんが、こんな甘くなるなんて……」
うぅと泣き真似をする。
……ウザい。
「ってか話し戻すけど……」
「話し?」
こいつ、すっかり忘れてやがる。