不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
悪かったな。
その“初”なんだよ……
なんて言うのは悔しくて、無言で睨んだ。
「普通に誘えばいいんだよ」
「だから、その普通がわかんねぇんだって……」
「大丈夫、大丈夫♪恋愛初心者の司くんでもデートにくらい誘うことは出来るって♪」
「っ……」
悔しいけど、言い返せない。
でも……
「恋愛初心者は余計だ」
「ははっ」とだけ笑って、夏樹は屋上を出ていった。
普通か……
普通…………
ただ空をボーッと見上げながら、考えた。
その普通がわかれば、誰も苦労しねぇんだよな……
「司先輩っ♪」
「えっ……」
座って空を見上げている俺の上に、ヒョコと顔を出した鈴加。
「……何でいるの?」
「はあ?何でってもう、昼食ですよ?司先輩が教室に見当たらなかったからここに来たんですっ」
「よく分かったな。ここって」
「夏樹先輩に聞きました」
あぁ―、そういうこと。