不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~


悪かったな。



その“初”なんだよ……



なんて言うのは悔しくて、無言で睨んだ。




「普通に誘えばいいんだよ」


「だから、その普通がわかんねぇんだって……」


「大丈夫、大丈夫♪恋愛初心者の司くんでもデートにくらい誘うことは出来るって♪」


「っ……」



悔しいけど、言い返せない。



でも……



「恋愛初心者は余計だ」



「ははっ」とだけ笑って、夏樹は屋上を出ていった。



普通か……



普通…………



ただ空をボーッと見上げながら、考えた。



その普通がわかれば、誰も苦労しねぇんだよな……



「司先輩っ♪」


「えっ……」




座って空を見上げている俺の上に、ヒョコと顔を出した鈴加。



「……何でいるの?」


「はあ?何でってもう、昼食ですよ?司先輩が教室に見当たらなかったからここに来たんですっ」


「よく分かったな。ここって」


「夏樹先輩に聞きました」




あぁ―、そういうこと。





< 236 / 349 >

この作品をシェア

pagetop