不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「お弁当、食べましょ♪」
「あぁ」
やっぱり鈴加の笑顔は落ち着く。
今思えばなんであの時、気づかなかったんだろ。
俺が鈴加を妬かせたいが為に女に優しくしていた時の鈴加は、いつも苦しそうに笑っていた……
それなのに……俺は……
「司先輩?」
お弁当を広げながら、首を傾けて俺を見る。
「あれ?今日はここで食べるのか?」
「はいっ。天気もいいですし、屋上っていうのもたまにはいいかな、って。……あっ、イヤでしたか?だったら……」
「イヤ。せっかくだし、ここで食べよう。でも、寒くないか?」
「大丈夫です」
普通の会話なのに、鈴加が嬉しそうに微笑んでくるから、俺まで笑みがこぼれる。
「あっ、お箸どうぞ」
「ありがとう」
毎日弁当を作ってきてくれている鈴加。
いつもはこの弁当を一緒に、空き教室で食べてるんだけどな。