不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「……なんで帰ってきてんの?」
仕事じゃねぇのかよ……
「もぉ―っ。睨まないでよっ。ちょっと忘れ物をしたから帰ってきただけ。それにここはあたしの家だし―っ」
甲高いこの声にイライラする。
「あれ?このコ、あんたの彼女?」
そう言って鈴加に伸びる手を。
――バシッ
とおもいっきり叩いた。
「ふぅ~ん。母親に触らせるのもイヤなくらい、大事なコなんだ―っ」
「えっ……お母さん……?」
今、状況を理解した様子の鈴加がボソッと呟いた。
「まぁ、あたしは仕事に戻るわ」とだけ言い残して、テーブルに置かれているピアスを取り、部屋を出た。
「……司先輩?」
心配そうな鈴加の瞳が揺らいでいる。
「あぁ―……、悪いな……。ちょっと場所、移動しよう……」
ここには居たくない。
あいつの……母さんの甘ったる香水のするこの部屋には。
「俺の部屋で話しをしよ……」
そう言う俺に、素直に頷いて俺の後を追ってくる鈴加。