不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「あたしはずっと司先輩の側に居ますから……。だから1人で抱え込まないでください……」
「っ……」
俺より年下の鈴加に……
しかも俺より弱い鈴加に……
俺は抱きしめられていた。
「……俺……さ、見て分かるように母親と仲が悪いんだよね……。ってか嫌われてる」
「っ……」
「俺の母さんは未婚で俺を生んだんだ。正確に言うと、結婚を約束していた奴にも家庭があって、裏切られた……って言うのが正確かな?」
抱きしめられたまま話す俺には、鈴加の表情が読み取れない。
「似てるんだってよ……」
「えっ……」
「そいつに……母さんを捨てた男に俺が……」
母さんは俺を見る度に、イライラしていた。
そいつに似ている俺を、母さんは恨んでいるんだと思う。
「俺が……眼鏡外さない理由もそれ」
こんなの度なんて入ってないし、俺は眼が悪いわけでもない。
「少しでも母さんに見てもらえるように、だて眼鏡をかけて、父親が髪を染めてたって聞いてたから、俺はずっと黒髪で通してきた」