不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
でもそれは無意味なことだった。
そんなこと関係なく、母さんは俺を嫌っていたんだ。
「愛なんて知らなかった……。誰も俺を愛してくれてなかったから……」
友達には恵まれた。
夏樹という信じられる友人に……
でも、愛を捧げるような……そんな人には恵まれなかった。
ってか一生愛なんて分からず、生きていくんだと思った。
「……っ、うぅ―…」
今もなお、俺を抱きしめていた鈴加の体が小刻みに震えていた。
「鈴加……?」
「……あたしは愛してます。司先輩を……司先輩だけを愛しています……」
「っ……」
泣きながらそう言う鈴加に、発作的に体を離し、その代わりに唇を塞いだ。
「ふあっ……」
角度を代えながら、何度も何度もキスをした。
「んっ…あっ……」
深くなれば深くなるほど、鈴加は涙を流した。
俺が泣けなかった分を、全て引き取ったかのように……
「鈴加……」
――カチャッ
ゆっくりと眼鏡を外して鈴加を見た。
「あっ……」