不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
優しい先輩……
その優しさが痛いくらい。
「はい……っ、じゃぁ……」
――ピッ
泣きそうな声を聞かれたくなくて、電話を切った。
変に思ったかな……
思ったよね……
でも、とてもそのままじゃ話していられなかった。
「あれ?鈴加……?」
「……あっ、智也……」
声のする後ろを振り向くと、バッグを持って立っている智也。
「おまっ……泣いて……」
ハッとして、制服の袖で目元をこすった。
「な、なに言ってんの?泣いてなんかないよ」
「ふぅ―ん。どうせまた司先輩だろ?」
「っ……」
「で?どうしたわけ?聞くだけ聞くけど?あっ、でも手短にな」
本当にこいつ、聞く気があるのか……?