不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「そういえば、これから行くのって、いつものカラオケボックスでよかったんだよな?」
「あぁ―うん。クラス全員来るってさ」
今……から……?
「先輩たち、今からカラオケに行くんですか?」
あたしの疑問を察したかのように、蘭が尋ねた。
「うん。クラスでのお別れ会だってさ」
蘭にニッコリと笑いかけながら、夏樹先輩がそう答えた。
この会話の流れからして、司先輩も行くんだよね……?
当たり前……か。
卒業生なわけだし……
「じゃあ、そろそろ行くか。あいつらも呼んでるし」
正門のところで手を振っている、先輩たちのクラスメイト。
「そうだな。鈴加たちはこれから卒業式の片付けだろ?」
「……はい」
「じゃあまた、夜にでも電話するな」とだけ言って先輩たちはクラスメイトのところに走っていった。
あたしだけなのかな……?
司先輩の卒業が寂しいって思うのは……
司先輩と同じ学校に通えないのが、悲しいって思うのは……
「鈴加!何してるの!体育館に戻るよ!!」
「あっ、うん」
離れていく司先輩の背中をもう一度見つめて、蘭の元へ駆け寄っていった。