不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「ねぇ―、蘭……」
「ん?」
蘭と体育館のパイプ椅子を片付けているあたしたち。
「恋人の卒業式ってあんなにあっさりしたものなのかな?」
全然司先輩は悲しそうじゃなかった……
「あっさりって。あんたたち、あんなにノロケておきながら……」
「べっ、別にノロケたわけじゃ……///」
さっきの光景を思い出して、体温が一気に上昇した。
「まぁ、個人差は色々あるだろうけどさ……。あたしたちは会おうと思えば会えるじゃん?」
「……ん。」
司先輩もそう言ってた。
「でもさ、クラスメイトは少なくとも何人かは県外で会えなくなるからね……。だから今日はクラスメイトと居たいんじゃないのかな?」
「……そうだよね」
蘭は大人だ……
しっかりしてるし、夏樹先輩をちゃんと理解して優しい。
あたしは心が狭いのかな……?
クラスメイトのところに、何も迷わず走っていった司先輩。
それが悲しいなんて……
「あっ、でもハメをはずしすぎて、浮気したら絞め殺すけどね♪」
やっぱりさっきの一つ前言撤回。
優しいんじゃなくて、蘭は恐ろしく怖いです……