不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~


「ほ―ら。蘭。何してるの?早く行きなよ?」


「でも……」




きっと蘭のことだから、あたしをここで1人にさせるのは……と思ったんだろう。



本当に、あたしの周りには優しい人ばかりだ……



「あたしはいいの。ねっ?せっかく、夏樹先輩が迎えに来てくれたんだから」


「鈴加……。うんっ。あたし行くね」



満面の笑みであたしを見てくる蘭に、あたしまで笑顔がこぼれた。



誰も居なくなった教室……



外を覗くと、仲良さそうに手を繋いで帰っていく夏樹先輩と蘭。



「よしっ!あたしも帰ろ。」


バックを肩にかけ、教室を出た。



明日からは司先輩がここに居ることはないんだ……



もう二度と、この学校で会えないんだ……



そう思うと、涙があふれそうになった……



「っ……」



廊下で立ちすくみ、涙をこらえる。


最後に……もう一度だけ行きたい。



あたしの足は動き出していた。



司先輩との思い出の……あの部屋に。




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