不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「ありがとうございました。」
家の前で律儀に頭を下げる鈴加。
「別に……。俺が送って行くって言ったんだし」
それにしても……
「でかい家だな……」
「はあ……」
綺麗な造りで、セキュリティが完璧と言った感じの家だ。
さすが親が有名デザイナーなだけある。
「まだ親御さんは帰ってないのか?」
もう7時半過ぎだというのに、明かりがついていない家。
「あっ、はい。両親とも忙しくて、ほとんど家には帰らないんです」
少し悲しそうにそう答えた鈴加。
「そっか……」
そうだよな……
有名になればなるほど、忙しくなるからな……
「寂しくないのか?」
悲しそうにしている鈴加を見たら、何故かそう聞いてしまっていた。
「……もう慣れましたから」
そう言って笑う鈴加に、胸が少し痛んだ。
「携帯貸して」
「えっ?」
「いいから」
「あっ、はい。」
ポケットから携帯を取り出して、俺に手渡してくる。
淡いピンクの携帯で、鈴加に凄く合っている感じの携帯。