不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
寂しい夜-鈴加Side-
「ただいま―……」
なんて言ったて、返事なんか帰ってくるはずもない。
そもそも『ただいま』なんて言ったのも、いつ以来だろ。
家に入ったら自然に口が動いていた。
『おかえり』なんて返ってくるはずのない、返事を期待して……
言わなきゃよかったな。
こんなに寂しい気持ちになるなら……
ローファを脱ぎ、無駄に広いリビングに入る。
テーブルに置かれている夕食……
もちろん家に帰ってこない母が作ってるわけではない。
作れるはずもない……
毎日昼までお手伝いさんが来ている。
部屋の掃除や、夕食の準備。
ほとんどをお手伝いさんがしてくれる。
だから身の回りの世話に困ったことはない。