不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
智也ママはよくこうやって、何かを智也に届けさせようとする。
理由はきっと……
「おばさんたちはまだ会社?」
「……うん」
「そっか」
デザイン事務所のある会社に泊まりっきりのあたしの両親。
それを心配して智也ママが智也に色々と届けさせてくれる。
これが智也が家に来る理由。
そんな佐藤家の優しさには本当にいつも、感謝の気持ちでいっぱいだ。
「ねぇ、せっかく貰ったんだし、智也も飲む?」
「俺、甘いもの嫌いだって知ってるだろ?」
そりゃ―知ってるけど……
「じゃあいつも通りコーヒーでいい?」
「あぁ」
キッチンに向かいお湯を温めた。
アップルティーの袋をハサミで開封すると、ほんのりと甘い匂いが鼻をかすめる。