不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
よかった……
やっぱり誰もいない……
一つ空いた窓から、生暖かい空気が流れてくる。
湿気の多そうな独特な本の匂い……
いかにも図書室って感じの匂いだ。
中に足を踏み入れ、木製の机に座った。
椅子ももちろんあったけど、低すぎて座る気になれない……
行儀悪いな……あたし……
でも誰もいないし……
別にいいか……
適当なこの性格も昔から。
面倒くさいことが大嫌いで、そんなあたしが恋愛に向いてるわけもなく……
今までの彼氏は、さっき振られた孝太が初めて……
そう……
初めてだった……
優しい言葉も―……
優しく抱きしめられるのも―……
優しくキスされるのも―……
全部が初めてだった……
だから、もちろんその先の“初めて”も孝太にあげるはずだった……
まだ勇気が無かったから、踏み出せなかったけど、きっと孝太ならわかってくれるって思ってたから……
「っ……」
でも違った……
「っ…ウゥ―…」