不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「孝太のことはこれから少しずつ忘れていけばいいよ……」
自然にうつ向いていたあたしの頭に、ポンッと手を置いてそう言った智也。
変なところで優しいんだよね。
智也って……
「じゃあ俺、帰るから……」
「あっ、うん。じゃあまた明日ね」
あぁ。とだけ言ってリビングのドアを閉めて出ていった。
智也の居なくなった部屋には、テレビから聴こえてくる笑い声しか聞こえなくて。
さらに寂しくなった。
いつもそう。
智也が来てくれるのは気を使ってだけど、でも智也が帰った後は……
智也が来る前以上に寂しくなる。
――『1人は寂しいよな……』
そうだよね。
1人は寂しいよね。
ねぇ……
司先輩も、1人で寂しい夜を過ごしているの……?
近くにあった携帯を、ただギュッと握りしめた……