不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
ちなみにあたしの前の席が蘭で、その隣が智也。
毎回くじ引きで決まる席順も、委員長の智也が作ってるから毎回、この席。
こんなヤツを委員長に推薦した、みんなの考えがわからない……
まぁ―……、あたしとしては蘭と毎回近くだから、ラッキーなんだけどね。
「そういえば今日は智也と来てないんだね?」
辺りを見渡してからそう言った。
朝練に行っている智也と蘭は一緒に教室に来ることが多い。
部活は違うけど、朝練が終わる時間は一緒だから。
「あぁ、智也ももうすぐしたら来ると思うよ。今日は片付け当番だったみたいだし」
「そっか」
「ねぇ、あれって司先輩じゃない?」
あたしたちの席は窓側で、外を見るのは簡単だった。
「司先輩……?」
蘭にそう言われて窓から覗くと、確かに小さくだけど先輩らしき背格好の人が正門から歩いてくる。
「3階からだと見にくいね―」
「……うん」
昨日会ったばかりの先輩に、なぜか懐かしさを感じた。
「にしても、尊敬するわ……」
そうボソッと呟いた蘭。
「何が……?」
「周りの女子よ……」
周り……?