不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
真剣な顔をして言った蘭に、あたしは少し笑って頷いた。
本当はわかってる……
孝太のことを忘れて前に進まないといけないって。
でも………
――バシッ!
「痛っ!!」
突然頭を叩かれて、感じた痛み。
誰かなんて見なくてもわかる。
「智也っ!!」
振り替えると、涼しい顔をしながら立っている智也。
「よっ」
「よっ。じゃないわよっ!毎朝、毎朝あたしの頭を叩いてさっ!!」
負けじと、智也の胸をぽかぽか叩くあたし。
「あははっ、悪かったって。」
絶対に思ってないでしょっ!!
「で?何、見てたんだよ?」
あたしの席に手を置き、覗き込むようにして外を見る。
「あぁ―、司先輩よ」
「……司先輩?」
蘭の言葉に、一瞬にして笑顔が消えた智也。
「おい、鈴加……。俺言ったよな……?」
ゔっ……なんか智也怖い……