不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
それくらい俺がボーとしてたってわけか……
「あぁ、特に考え事とかじゃないんだけど……」
「まぁ、先輩ほどのモテ男なら恋の悩みとかは無さそうですよね」
ニッコリ笑っているけど、その言葉に棘を感じた。
なんか……こいつ、俺のこと嫌ってる?
何でだ?
昨日までは普通だったよな?
「まぁね。司は確かにモテ男だからな」
うんうんと首を縦に振りながら、納得したような素振りを見せる夏樹。
「でもさぁ―こいつ、何気に恋愛音痴なんだよ」
「はあ!?」
何だよそれっ!!
「ちゃんと恋愛したことのない、ただの恋愛初心者♪」
なんかこいつが偉そうに話すのはムカつく。
「だから尚更、こいつはこれから恋をしたら悩むと思うよ~」
ニヤニヤ笑みを浮かべて、俺を見る夏樹の目から逃げるように顔を反らした。
「まぁ―、その悩みはもうそこまで来てるかもな♪」
そこまで……?
意味わかんねぇ……
俺には一生、恋について悩むことはねぇ―よ。
そう思いながら、今だにニヤニヤ笑っている夏樹を睨んだ。
―――――――――………
「じゃあ俺、部活行くな」
放課後になり、スポーツバッグを持った夏樹が肩を叩いて教室を出ていった。
一段と部活に行くのが楽しそうな夏樹。
きっと、城田に会えるからだろうな……
俺もほとんど何も入ってないバッグを持って、教室を出た。