不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
向かう場所は……
そう、第一図書室。
俺の秘密の部屋。
朝からずっと近づいてくる女逹。
名前なんて、知らないのは当たり前。
顔すら覚えてない。
喋るつもりなんてないのに、すり寄ってきて甘ったるい声を発する。
あんな奴らに、放課後まで囲まれるのは勘弁だ。
だから、そんな女逹から逃げるための避難場所。
それが第一図書室。
新しく作られた第二図書室に生徒は行くから、この教室にはなかなか生徒は寄りつなかない。
今では無くてはならない、俺の休息の場所……
――ガラッ
古っぽい木製のドアを開け、中に入る。
湿っぽい部屋に充満する、本の独特な香り。
そんな香りを紛らわすために、机の近くの窓を開けた。
少しだけ風が窓から吹き込む。
まだ来てないのか……
少し落ち込んだ気持ちを、振り払うように外の空気をおもいっきり吸った。