不器用恋愛~甘いキスをあなたと♥~
「あれ?もう来てたんですか?」
――ビクッ
後ろを振り向くと、いつのまにか来ていた鈴加の姿。
サラサラのロングヘアーを耳にかけ、柔らかく笑っている。
「相変わらず、湿っぽいですね―」
そう言って、カバンを机に下ろし、俺の横に立った。
「んん――っ!」と声をあげながら、腕を伸ばしている鈴加。
「今日はいい天気ですね♪」
たったそれだけのことなのに、ニコニコ笑う鈴加につい、俺も笑い返してしまった。
一階の、しかも一番端にあるこの教室からは誰も人の姿が見えない。
風が優しく吹き込み、鈴加の髪を撫でる。
そんな髪を耳にかけ、柔らかく微笑む鈴加。
――ドクッ
「っ……」
よく泣いて、幼く笑う子供みたいな鈴加が……
今はもの凄く、大人っぽく見えた。
異常な程に鳴り響く胸を手で押さえた。
なんだ?
これは……?