True colors
喫茶店を開始して一時間。

用意した席では収まらず、廊下には待ちの行列ができていた。


それも女子ばかり……。

岸田君と海君がウエーターをしていると噂が広まりこういう事態となったわけだ。


学校内で王子と呼ばれているこの二人に、他校の女子も熱い視線を送っていた。

「あの子だよ、金で岸田君を誘惑してるっていう女。」


ひそひそと私を指差して話す声が聞こえてきた。


「麻梨亜ちゃん調理手伝ってきて、なんか大変そうだから。」


笑顔で私を女の子達から遠ざけようとしてくれる海君。


「お待たせしました。」


とさっき私のことを言ってた女の子達の席に飲物を運ぶ岸田君。


「あっ、ついでに俺麻梨亜に金で誘惑されたことなんて一度もないから。誰が流した噂かしらないけどそういうこともう言わないでね。」


口元は笑って言っているが、その低い声と鋭い目線で一瞬にして女の子の表情が凍り付いた。




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