True colors
中には何やら楽しそうにしている麻梨亜ちゃんと岸田君がいた。


「なんで………。僕と約束してたのに……。」


僕は身体中の力が抜けたみたいにその場から動くことができなかった。


ただ楽しそうに踊る麻梨亜ちゃんと岸田君を見つめていた。


いつの間にか麻梨亜ちゃんと岸田君の周りに人だかりが出来ている。


「本当なら僕と麻梨亜ちゃんが………。」


音楽が終わり体育館がパッと明るくなった。


麻梨亜ちゃんが僕に気付いたらしく、一瞬ハッとして人だかりの中こっちを申し訳なさそうな顔でじっと見ている。


「今まで僕の事なんて忘れてましたって感じだな……。」


今日のことを一人浮かれていた自分が惨めでポケットのネックレスをめいいっぱいの力で握りしめた。


(ベストカップル賞は決まったも同然だな……。岸田君と麻梨亜ちゃんがベストカップル賞になるところなんて……見たくない……。)


僕はその場から逃げるように一人家へと帰った。




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