True colors
「麻梨亜、何か食べたい物あるか?」


「う〜ん……。何でもいいです。」


「そうか……。」


そう言うお父さんがなぜか少し寂しそうに見えた。

高そうなお寿司屋さんに入りカウンターに座った。

「なんでも好きなの頼んでいいぞ。」


「はい。」


とは言っても何を頼んでいいのか分からない。回っていない寿司屋に来たのは初めてだ。


「娘に適当に握ってやってくれ。」


困っている私を見てお父さんはそうお店の人に頼んだ。


「麻梨亜、お父さんに遠慮しなくていい。少しぐらいわがまま言ってもいいんだぞ。寂しいじゃないか。」

お父さんは優しい顔で私にそう言った。




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