True colors
次の日、僕は校門で岸田直人が登校してくるのを待った。


岸田直人は遠くからでもすぐ分かる。


その周りとは少し違う容姿とオーラで……。


「岸田君ちょっといいかな?」


僕がそう言うとさすがに用件が分かるらしく嫌な顔一つせず僕に着いてきた。


「僕は麻梨亜ちゃんを傷つけたくない。彼女を傷つけないように目の前から消えろ。」


そう言うと岸田直人は俯きながら頭をボリボリかいた。


「俺は麻梨亜を傷つけることなんかしない。……でも麻梨亜の前から消えることはできない。」


その言葉を聞いて頭に血が上った僕は岸田直人の胸ぐらをつかんだ。


「岸田直人。お前そんなにお金が欲しいのか?」


そう言うと岸田直人は僕の手を払いのけた。


「違う!」


岸田直人はそう強く否定すると教室に向かって歩き出した。





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