True colors
｢ぁら、お嬢様。私明日からこの屋敷で働かせてもらいます渡辺です。どうぞよろしくお願いします。｣


そう言って一礼をし、女の人は帰って行った。


専務さんと２人になり、沈黙が続いた。


｢あ…あの、私学校へは自分で行きたいので車の送り迎えを断ろうと思って…。そしたら専務さんがいたから父に伝えていただくようにお願いしようと…。｣


｢そうだったんですね…。分かりました。伝えておきます。｣


そしてまた沈黙が続いた…。


(専務さんなんかしゃべってよ！私から根掘り葉掘り聞くわけにいかないんだから！)


｢……麻梨亜ちゃん、今の人のこと代表には黙っててくれませんか？｣


｢結婚していること内緒にしているんですか？｣


｢いや、彼女は妻じゃないんだ…………。｣


(えっ！？てことは妹とか？どういう間柄なのかさらっと言っちゃってよ！なんでこんな深刻な感じなの？)


｢黙っててくれるかい？｣

そう言う専務の顔が笑顔なんだけど寂しそうでこれ以上詮索することはできなかった。


｢大丈夫です。父には言いません。｣


｢ありがとうございます。送迎のことはちゃんとお伝えしておきます。｣


結局あの女の人が誰なのか分からないまま専務は行ってしまった。




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