True colors
体育館に近づくと、何やら言い争っている声が体育館の裏から聞こえた。

「麻梨亜が何したって言うのよ!」


「男に媚び売る女は嫌いなんだよ!川中君に手出してると思ったら渡辺君にも岸田君にも色目使って!ああいう調子こいてる奴は一度痛い目に合わないと分からないんだよ!崎本さん、神田の味方するっていうならあんたにも容赦しないよ!」


「美樹!!」


私は居ても立ってもいられなくなって美樹の前に飛び出した。


飛び出してみたものの、さすが歯向かう人はいないと言われている倉田さんグループ。みんな金髪に近い明るい髪の毛をしており、メイクが濃い。細い眉毛で顔つきも凄く恐くて足が竦んだ。


でも…………。


「言いたいことがあるなら直接私に言えばいい。美樹は何も関係ない!大勢で言いがかりつけて卑怯だよ!」


(美樹はいつも逃げずに私のことを助けてくれている……。私も絶対美樹を助ける!)


「おいてめぇ〜神田何が卑怯だ! 全部お前のせいだろう調子こきやがって!」

「私が何したっていうの!? 自分が男子から相手にされないからってひがまないでよ!」


「てめっ…………。」


つい出てしまったこの言葉が倉田さんの逆鱗に触れたらしく、彼女は手を広げ大きく上にあげた。


(やばっ…殴られる………!)


私は目をギュッと力を入れてつぶった。




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