True colors
(あれ……？殴られない…………？)


私はそぉっと目を開けた。

｢き……岸田君……。｣


岸田君が倉田さんの手を掴みあげていた。


｢お前ら何してる？｣


その迫力のある低い声と顔つきにさすがの倉田さんも顔が青ざめていた。


｢俺は女に手をあげる趣味はないからさっさと消えろ。｣


そう言われると倉田さん達はそそくさとその場から去っていった。


｢麻梨亜、大丈夫だったか？｣


恐怖から解放されたせいか、そう言う岸田君がなんだかすごくたくましく見えて胸がドキドキした。そしてふと我に返る。


｢美樹！！｣


私は美樹に力強く抱きついた。


｢私は別に何言われても平気だよ。だからもう美樹は無茶なことしないで。もし美樹に何かあったら…………私平気じゃいられないよ！｣


私は美樹の胸で泣いた。

結局私がまた美樹に甘えてしまったのだ。


｢おぃ、俺の存在無視するなよ！｣


(げ……岸田君がいるの忘れてた！)


｢き、岸田君助けてくれてどうもありがとう。｣


｢どういたしまして。麻梨亜がピンチの時にはいつでも駆け付けてやるから。｣

またそんなことを言ってと思いながらもそんなことを言われるとドキドキしてつい顔が赤くなってしまった。






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