True colors
教室に戻ると海君がニコッとこっちを見て微笑んだ。

「無事で良かったよ。一時はどうなるかと思った。」

「えっ……?」


「たまたま通りがかってね。岸田君が行かなかったら僕が助けに行ってたよ。」

(そう言われてときめかない女子はいないよね……。私ってば最近ドキドキしすぎだし! 倉田さん達が言うことも一理あるかも…。)


「あっ、そういえばうちのお母さん真面目に働いてる?何か迷惑かけてない?」

「そんな迷惑だなんて……。いつも真面目に働いてくれてるしすごく優しくていい人だよ!」


「ならよかった…。何せ今まで僕も小さかったせいかこんな長時間働きに出たことなんてなかったら…。」

(そっか…。あれっ、てことは海君遅い時間まで家で一人きりなんだ……。)


自分の親もスナックで働いていて夜一人でいるのはすごく寂しかった……。


「海君!今日家に遊びに来ない?」


「えっ………。」


「よし決まり〜!一緒におやつ買って帰ろう!」


ほとんど強制的に約束をとりつけて海君はキョトンとした顔をしていたが、すぐ笑顔になり了承してくれた。


「二人で何の約束〜?」


岸田君が私の机にドカッと座り、話しに割り入ってきた。



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