True colors

｢着いたよ〜。｣


想像はしていたがこの大きい屋敷を目の当たりにして一瞬立ち止まり呆然と見渡した。


｢お疲れ様です。｣


当たり前の様に門番に挨拶をすると庭に入って行く麻梨亜ちゃん。


彼女は本当にこの屋敷のお嬢様なんだな……。


家のドアを開けると聞き慣れている声が聞こえた。

｢お帰りなさいませお嬢様。｣


｢ただいま、渡辺さん。今日はお友達を連れてきましたぁ〜！｣


笑顔で挨拶しようとする母だったが僕を見てなぜだか一瞬眉間に皺が寄ったような気がした。


｢やだ、海じゃない！もぉ〜びっくりさせないでちょうだい！｣


(いつもの母だ。気のせいだったかな……。)


｢麻梨亜ちゃんがお母さんが働いているから気を効かせて僕を招待してくれたんだよ。｣


｢そ、そうなのね……。よかったわね海。お嬢様の迷惑にならないようにす、するのよ。｣