True colors
「なんで私なんかに付きまとうんですか?」


「好きだから。」


「どこが?」


そういうと岸田君は一瞬動きが止まった。


「全部だよ。」


(今の一瞬の間…。私を好きだなんて嘘なんでつくんだろう……。)


「やっぱり好きだなんて言うのは私の父親がお金持ちだからですか?」


そう言うと、岸田君は眉間に皺を寄せ手に持っているボールをぎゅっと握って私を見た。


「なんだよお前さっきから自分は金持ちだって。金持ちだから俺みたいなのを哀れだとか思ってるのか?お金が好きなのはお前だろ?だから母親捨てて金本太一の娘になったんだろ?」


(何言ってるのこの人?私がお母さんを捨てた!?)

「私はお母さんを捨ててなんかいません…。 別にお父さんが金持ちじゃなくたって一緒に暮らしてました…。」


私はそこまで言われたのが悔しくて目から涙が出てきそうなのを必死に堪えて話した。


「お母さんと暮らしたマンションを離れたくなかったけど……。でもお母さんが亡くなって愛してくれる人がいなくなって…、そんな中お父さんが現れて私の事を愛してくれていて……。私も一人きりじゃ辛かったから……、愛してくれるお父さんと暮らして何が悪いんですか?」


私は目から涙が堪えきれなくなった。


「麻梨亜…、ごめん俺……。」


岸田君が何か話していたけど私はその場から走って去った。



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