True colors
(落ちて割れたら沙耶ちゃんが……。)


私は揺れている床を這うよう花瓶に手を伸ばした。

(あっ!落ちる……!)


棚から落ちた花瓶は私の頭の上にクリティカルヒット……。


ゴンと頭に衝撃がはしったと思った瞬間意識が遠退いていった。


「麻梨亜!」


目を開けた時に目の前に映ったのは岸田君だった。

「……岸田君?」


意識がまだ朦朧としていて状況が把握できなかった。

「痛っ……!」


動いた瞬間頭がズキッと痛んだ。


「まだ無理して動くな。花瓶が頭に当たって気を失ってたんだ。」


(花瓶……。そうだ私地震がおきて……。)


「沙耶ちゃんは?沙耶ちゃんは大丈夫?」


「大丈夫だよ。麻梨亜の事すごく心配してた。」


「良かった……。ハッ……ハクション!」


大きな声でくしゃみをしてしまい恥ずかしかった。

「花瓶に入ってた水を頭からかぶったからな……。大丈夫か?」


岸田君は私の額に手を当てた。


(冷たい手………。)


「熱はないみたいだな。ごめんな俺が後少しの所で花瓶に手が届かなかったから……。」


(ん……?後少しで花瓶に手が届かなかった……?ってまさか……!)



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