短編■ 幸薄な僕
でも僕はキューさんの良いところをたくさん知っている。
。
キューさんは真面目だ。
掃除の時間にちゃんと掃き掃除をする。
でも男子が『真面目だな』と褒めるのは、最後の最後にチリトリを手にするシーさん。
『エーさんたちは掃除をサボるのに、シーさんは偉いな』
と、クラスの男子はシーさんを褒めるんだ。
でも僕は知っている。
シーさんは掃除をするフリをしているだけで、
オイシイところをキューさんから横取りするんだ。
たいして掃除をしていないのに、何食わぬ顔でモテモテ気分を味わうんだ。
それを悪く言わず、ゴミ袋をゴミステーションまで捨てるキューさんが、僕は気に入っている。