短編■ 幸薄な僕

でも僕はキューさんの良いところをたくさん知っている。



キューさんは真面目だ。
掃除の時間にちゃんと掃き掃除をする。

でも男子が『真面目だな』と褒めるのは、最後の最後にチリトリを手にするシーさん。

『エーさんたちは掃除をサボるのに、シーさんは偉いな』

と、クラスの男子はシーさんを褒めるんだ。

でも僕は知っている。

シーさんは掃除をするフリをしているだけで、

オイシイところをキューさんから横取りするんだ。

たいして掃除をしていないのに、何食わぬ顔でモテモテ気分を味わうんだ。

それを悪く言わず、ゴミ袋をゴミステーションまで捨てるキューさんが、僕は気に入っている。



< 10 / 24 >

この作品をシェア

pagetop