短編■ 幸薄な僕
キューさんは優しいんだ。
英語の時間にちゃんと予習をする。
でも男子が『優しいな』と褒めるのは、予習ノートを見せてくれるエーさん。
『エーさんって見た目とは違って勉強してて偉いよな』
と、クラスの男子はエーさんを褒めるんだ。
でも僕は知っている。
エーさんは予習なんてしていなくて、キューさんのノートを写しただけなんだ。
それを自分がしたとばかりに、何食わぬ顔でモテモテ気分を味わうんだ。
それを悪く言わず、テスト範囲まで教えてあげるキューさんが、僕は好意的に思っている。