短編■ 幸薄な僕
……とにかく夏休みが終わって。
お化粧を覚えたエーさんは、ギャルギャルしくなっていたし、
巻き髪に目覚めたビーさんは、お姉さんOLみたいになっていたし、
ヘアカラーを知ったシーさんは、癒し系になっていた。
――そう、単純に可愛くなっていた。
クラスの女子はみんな美意識に目覚めていた。
…が、僕は知っている。
変わらなかったキューさんが居ることを。
エーさんやビーさん、シーさんをクラスの男子は可愛い可愛いとちやほやする。
もてはやす。
――そんな中 相手にされないキューさんが居る。
なんとなく僕はキューさんが気になっている。
気になる理由は僕に話し掛けてこないし、ベタベタしてこないし、
女って感じをアピールしてこないところ。
キューさんは目立たないし、見た目も可愛い訳ではないし、頭が良いけど、運動ができる訳でもない。
―――そう、キューさんは成績が良い普通の人。