青空のむこうに~バスケに恋して~


私がシュートを放ったのはその1本だけ。

長い事、バスケットから離れていた私が綺麗にシュートを決めた事は二人にとっても、またマサシにとっても大誤算だったようだ。



体育が終わった後、カズミとサエ、それからマサシは体育館を出る際、私を思いきり睨んでいた。


「ゆずっ子。離れてたのにいいシュート打つね。正直、驚いた」

「や、自分が一番驚いてるんだけど…」


桐沢君に声をかけられて私はそう答えた。

見られてた事がすごく恥ずかしい。


「私、感動しちゃった…」

「そんな、大げさな…」


マホが言ったので笑ってしまった。

でも、彼女が言うのはわかる。



だって、私ゲーム前はひどい表情だったみたいだし…。


死ぬんじゃないかって本気で心配したみたいだった。


「放課後…楽しみだな」

「…え?」


放課後…?


桐沢君に聞き返すけど、彼はただ笑みを浮かべるだけで何も答えてくれなかった。

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