青空のむこうに~バスケに恋して~
「こんにちはー」
「おおっ!ゆずちゃん。事情は聞いてるよ。淋しいけど、ゆっくり休んで!」
「…?」
部室に入るなり、先輩達がそう言った。
すでに話が回っているらしいけど、私は事情を知らない。
「あー、ちょっとすいません~。オレから話あるんで聞いてもらいたいんですが」
虎鉄は部室に入るなり、大きな声でみんなに呼びかけた。
着替えていた人とか、シューズの紐を結んでいた人とか…。
それぞれ作業をしていた人たちが一斉に話をやめて、虎鉄の方を見る。
「…マサシが、ゆずっこをマネージャーにするのは反対だって言い張ってるんで、このままだとマサシも納得行かないと思うんで、オレからゆずっことマサシに条件出そうと思うんですがいいっすか?」
「3年生はもうすぐ引退だし、1,2年生主体で意見はまとめていいからね」
ミサ先輩の答えに部員達が一斉に頷いた。
マサシはふてくされたような顔をして立っている。
「…だよな?マサシ。お前、ゆずっこがここにいるの気に入らないんだよな?」
「ああ。途中でやめた腐ったヤツなんかいらねー」
「んじゃ、二人が納得する条件を出してやる。しかも、お前に有利な条件をな」
マサシに有利な条件…?
私は虎鉄を黙って見つめた。