青空のむこうに~バスケに恋して~
せっかく見つけた居場所を簡単にとられたくない…っ!
本気で私はそう思っていた。
あんなチャラチャラした適当な男なんかに…。
「奪われてたまるかっつーのっ!」
パスッ
力いっぱい放ったボールはネットを通過する。
並の人間が月曜日まで練習したところでどうにかなるわけじゃない…。
虎鉄、わかってるなら何で私をわざわざやめさせるような条件出すんだろ…。
やっぱり…マネージャーに誘ってくれた事自体が罠だったのかな。
そう少しでも疑い始めると、心の闇はまた私を飲み込んでいく。
最初から私なんかに居場所がなかった…。
そう考えたら、頑張る意味ってどこにあるんだろ…?
「おー。やってるね」
「…!」
急に声をかけられてビクッとなった。
もやもやとしてる時に、声をかけられたら誰だってびっくりすると思う…。
「…トージ君…?!」
「よう。何、暗い顔してんだよ?フリースローやるんだろ?」
「…へっ?」
トージ君は現れるなり、ボールを拾い上げてそう言った。
私、まだ何も説明してないのに!
「何で知ってるかって?今朝、虎鉄に電話で頼まれたから」
「…はっ?!あ、今朝の電話…」
そういや、誰かに頼み事をしてたっけ…。