青空のむこうに~バスケに恋して~
「ゆずっこ顔が真っ赤…」
「虎鉄の意地悪っ!」
私が怒鳴った時だった。
「やっぱ、すげーよな、モルのバスケは」
「だよな。高校に入ってかなり腕上がったよな」
どっかの男子高生が話しながら私たちの前を歩いていく。
モルのバスケ…?
「あ、ちょっと…」
男子高生二人組を追いかけようとしたけど、会場から出てきた人が多すぎて見失ってしまった。
「どうしたの?」
「…今、モルのバスケって聞こえたから…」
聞き間違いかもしれない。
でも、間違いじゃなかったら、もしかしてモルは決勝戦の会場にいたって事…?
…もしかしたら、同じあだ名っていうだけなのかもしれないけど。
私はケータイを取り出して、モルにメールを送った。
『もしかして、あなたは私と同じ会場にいるの?』
モルからの返事はこなかった。