青空のむこうに~バスケに恋して~
「ゆず?」
「…?!」
トージに声をかけられて初めて、場内が明るくなってる事に気づいた。
私は慌てて立ち上がる。
「悪い、やっぱり寝ちまった。映画楽しかった?」
「…あ、私も寝ちゃったんだよね…っ!」
モルのサヨナラメールのショックで映画なんか全く見てなかった。
慌てて笑顔を作ってトージに答える。
映画館を出ると、雨はさっきよりも強くなっていた。
「…ゆず、顔色悪いけど大丈夫か?」
「あ、寝起きだからかな?私って寝起きサイアクだから…」
あははと乾いた笑い。
だけど、ごまかしきれなかった。
涙がポロポロと落ちてしまう。
「…ごめん、ごめんね…!」
「あ、おい…」
トージに泣き顔を見られたくなくて私は雨の中走りだした。
モルの存在が私の中でどれだけ大きかったか…
再確認した時にはもう遅かった。