青空のむこうに~バスケに恋して~


「紀子さんは、親が呼び出されて停学になったみたいだよ。先生もびっくりしてた」

「…」

「ゆず。何で紀子さんが怒ってたか、わかんないよね?紀子さん、たい焼き屋の秘密の事で頭にきたみたいで…」

「たい焼き屋の秘密?」


そういえば、たい焼きに関して私の知らない何かがあるみたいな…。


「…あそこのたい焼きやのね、もちチーズを好きな人と半分こにして食べると、幸せになれるっていう噂があるんだよ」

「もちチーズを好きな人と半分こ…?」

「そう。最初は男の子の気持ちを確かめるってのがきっかけだったみたいだよ。半分こにする時、男の子が自分に頭のほうをくれたら両想いって話…」



『あ、最後の1個どうぞ』

『じゃ、この1個は半分にして食べるか』

『ありがと。尻尾の方でもよかったのに』

『…いいんだよ。女の子には優しくしないと』


あの時の会話が頭の中で再生される。


『つか、知らないんだな』

『何が?』

『いや、何でもない』


トージはあの時、これを知ってたの…?



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