青空のむこうに~バスケに恋して~
「ねえ…トージ」
「なんだ?」
マンションFの屋上で夕焼けを見ながら私はトージに話しかけた。
あの日、ここで夜明けを二人で迎えた時から、この場所に来るようになった。
さすがに、夜明けを見に来る事はしてないけど。
「…私、あの日。モルに会った後、ここから飛び降りる覚悟してたんだよ」
「…」
やっぱ、言うべきじゃなかったかな…。
柵にもたれて私は日が沈んで行くのを見つめる。
赤く照らされた町並みが少し淋しく見えた。
「…もう、傷ついた顔なんて誰のも見たくなかった。だから私がいなくなれば…って」
「あー、もし、お前がそんな事して、この世から姿を消してたら、オレは一生夜明けを迎える事はなかっただろうな」
ため息をつきながら、トージが私の隣りに立つ。